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相手の『できない』に合わせると、そこがあなたの『限界』になる。共倒れを防ぐために考えたいこと。

2025/12/04

少し、厳しい話をさせてください

 

スポーツの世界で考えてみてください。
本気で勝ちに行こうとしているチームが、
「まだルールが分からない人」に合わせて練習レベルを落としたら、どうなるでしょうか? ……

勝てませんよね。

それどころか、実力のある選手まで調子を崩してしまいます。


ビジネスも同じだと、私は思うのです。

「相手がFAXしか使えないから」 「デジタルが苦手な人だから」

そうやって、できるはずのあなたが、できない人に合わせてレベルを下げてあげる。
それは一見「優しさ」や「協力」に見えるかもしれません。
ですが、忙殺される今の現場でそれを続けることは、本当に正解なのでしょうか?

全員が変われるとは思いません。

でも、「相手ができないから、自分もやらない」と諦めるには、まだ早すぎます。
あなたがその「足かせ」を外すために、今日は少し勇気のいる話をしましょう。


こんにちは。bridgeの山本です。

先週のカレンダーや手帳を振り返ってみて、現状は見えてきたでしょうか?

一年を見てみると、気づくことがあるはずです。
私たちの背中には、とてつもなく重たい
「荷物」が積まれていることに。

今日は、その荷物を整理し、「これからも長く商売を続けていく」ための、私なりに考えた話をします。


夏の甲子園が、なぜ「夜」になったのか?

突然ですが、みなさん。
高校野球の「甲子園」の変化をご存知でしょうか?
かつては、炎天下の真昼間に試合をするのが当たり前でした。
それが
「伝統」であり「美学」でした。


しかし、今はどうでしょう?
朝夕の涼しい時間帯に試合を行ったり、休息日を設けたりと、ルールが変わり始めています。

なぜだと思いますか?
昔の球児より、今の球児が根性がないからでしょうか? 違いますよね。
「気候(環境)」が変わったからです。

昔とは比べ物にならない猛暑の中で、昔と同じやり方を続けていたら、選手は倒れてしまいます。
野球という素晴らしい文化を、この先も守るために。選手を守るために。

「やり方(ルール)」を変える決断をしたのです。


私たちの業界も、環境が変わりました

これは、私たち繊維業界も全く同じです。


  • 「FAXで注文を受けるのが当たり前だ」
  • 「電話でやり取りするのがこれまでのやり方だ」

そうやって、昔と同じやり方を続けていける時代なら、それでも良かったのかもしれません。 ですが、今はどうでしょうか?

人手不足は深刻化し、オーダーは小口化しています。一人が抱える業務量は限界を超えています。
この
「猛暑」のような過酷なビジネス環境の中で、昔と同じように「電話と手書きFAX」で戦い続けること。

それは、もはや「当たり前」ではなく、「現場を溺れさせる危険な行為」になりつつあると、私は危機感を感じています。

その「素晴らしい経験」を守るために

私が「デジタル化しましょう」と提案すると、

  • 「ウチの職人は古い人間だから、そんな難しいことは無理だ」
  • 「ウチのような古い付き合いが大事な商売には合わない」
    と、拒絶反応を示されることがよくあります。

 

でも、誤解しないでください。 

私は、皆さんのその素晴らしい「経験」や「感覚」を守りたいからこそ、デジタル化を提案しているのです。

高齢化が進み、人が減っていく中で、すべての業務を「経験」と「記憶」だけで回し続けることは、もはや限界です。
大事な「商売の勘所」は、人間がしっかり握る。
でも、人間がやらなくてもいい
「連絡」や「記録」は、デジタルに任せる。

そうやって「道具」を使い分けることこそが、今の時代における最適解だと私は考えています。

実は、もう「使えている」のです

「でも、やっぱり難しそう…」と不安に思う方もいるかもしれません。

ですが、思い出してみてください。
皆さんの周りの職人さんや、あなた自身も、休憩時間にはスマホで孫の写真を見たり、LINEで家族と連絡を取り合ったりしていませんか?

そう、実は皆さん、すでにデジタルを使いこなす力をお持ちなのです。
ただ、「仕事の道具」として使っていないだけ。

日常でスマホを使うように、仕事でも便利な道具を使う。
そう考えれば、決して高いハードルではないはずです。


100%できなくても、歩み寄ることはできる

もちろん、全員がいきなりメールやチャットを使えるようになるとは思っていません。
でも、
「相手ができないから、私も昔のままでいいや」とレベルを下げて合わせてしまうのは、優しさではありません
それでは、二人とも溺れてしまいます。

例えば、


  • 「電話ではなく、せめてこのFAX用紙を使ってください」とフォーマットを統一する。
  • 「今後は、この時間は電話に出られませんが、その分早く出荷しますね」と約束する。

そうやって、「お互いができる範囲」ですり合わせを行うことが、プロの仕事ではないでしょうか?


あなたの会社を、守るために

変化を恐れないでください。
それは「冷たいこと」ではなく、会社と仲間を守るための「決断」です。

もし、「そうは言っても、ウチの取引先は頑固で……」と悩んでしまうなら、一度私に相談してください。

決して「切り捨てる」ような冷たいやり方ではなく、 「これからも一緒に歩むために、どう提案すればいいか?」 その具体的な作戦を、一緒に考えましょう。


私たちは、みんなが溺れるわけにはいかないのですから。

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